【10種類の屋根材】それぞれのメンテナンス方法と時期と費用相場

本記事の内容

  • 10種類の屋根材の特徴がわかる
  • 10種類の屋根材の金額(目安)がわかる
  • 10種類の屋根材のメンテナンス時期がわかる
  • 3種類の屋根のリフォームに必要な費用(目安)がわかる

 憧れのマイホーム。

これから始めたい不動産経営。

いずれも建物である以上、快適に住み続けるためには、メンテナンスが重要です。

特に、不動産経営の場合には、住人はお客様です。

メンテナンス不足が原因で入居が決まらないとか、建物の不具合のせいでトラブルになるなんてことは極力避けたいものです。

大手住宅メーカーに20年勤務し、各種分野の経験を積んできた筆者が、住宅のプロとして、屋根について解説します。

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屋根材

住まいに使われる屋根材は、下記10種類に分類され、メンテナンスの時期や費用も異なります。

新築時だけでなく、中古を検討する際にも、屋根には何が使われているのかをキチンと理解しておくべきです。

粘土瓦(和瓦、洋瓦)

遮音性、断熱性、耐久性が高く(50年〜100年)、塗り替えの必要はありませんが、基本的に高額です。

また、強風でズレたり、飛来物で割れた際には、都度メンテナンスが必要です。

重量があるため、地震の揺れに弱く、さらに落下の危険性もあるのはデメリットです。

[st-kaiwa1]相場は8,000〜12,000円/㎡[/st-kaiwa1]

セメント瓦

遮音性、断熱性、耐久性が高く(30年程度)、粘土瓦より安価なのも魅力です。

約15年毎に塗装メンテナンスが必要です。

重量があるため、地震の揺れに弱いことと、カビや苔が生えやすいのはデメリットです。

[st-kaiwa2]相場は6,000〜8,000円/㎡[/st-kaiwa2]

スレート(コロニアル、カラーベスト等)

断熱性に優れ、瓦に較べると安価です。

耐久性は20〜25年ですが、約10年毎に塗装メンテナンスが必要です。

軽量で耐震性に優れるが、割れやすいのはデメリットです。

[st-kaiwa3]相場は5,000〜8,000円/㎡[/st-kaiwa3]

トタン(亜鉛メッキ鋼板)

雨漏りしにくく、軽量で安価です。

ただし、遮音性、断熱性、耐久性は低く、錆が発生しやすいため、7〜10年毎に塗装メンテナンスが必要です。

[st-kaiwa4]相場は5,000〜6,000円/㎡[/st-kaiwa4]

ガルバリウム鋼板

トタンより格段に高い耐久性(15〜20年)と軽量さがメリット。

遮音性、断熱性、耐衝撃性は高くありません。

15〜20年毎に塗装メンテナンスが必要です。

[st-kaiwa5]相場は6,000〜9,000円/㎡[/st-kaiwa5]

ジンカリウム鋼板

ガルバリウム鋼板の表面に細かい石粒を吹き付けたもので、遮音性、断熱性、耐久性に優れており(40〜50年)、30年以上メンテナンスは不要とされていますが、釘浮きや屋根の下地等の定期的な点検は必要です。

軽量なのもメリットですが、比較的高価です。

[st-kaiwa6]相場は7,000〜12,000円/㎡[/st-kaiwa6]

ステンレス

耐久性が高く(約50年)、錆にも強く、軽量です。

ただし、遮音性、断熱性、施工性が低く、高額なのがデメリットです。

色褪せを気にしなければ、塗装メンテナンスは不要ですが、釘浮きなどの定期的な点検は必要です。

[st-kaiwa8]相場は10,000〜14,000円/㎡[/st-kaiwa8]

軽量で耐久性が高く(60年以上)、メンテナンスは不要ですが、釘浮きなどの定期点検は必要です。

遮音性、断熱性が低く、酸性雨等で穴が開きやすいのはデメリットです。

相場は18,000〜20,000円/㎡と、かなり高価です。

 

アスファルトシングル

遮音性、防水性に優れ、耐久性も高く(20〜30年)、30年以上メンテナンスフリーといったものもありますが、一般的なものは約10年毎に塗装メンテナンスが必要です。

ただし、勾配が緩い屋根には使えない点、表面の細かい天然石が剥がれて雨樋に詰まることもある点、カビや苔が発生しやすい点、薄く軽いため、強風でめくれてしまうこともあるというのはデメリットです。

相場は6,000〜8,000円/㎡。

 

陸屋根(ろくやね)の防水

陸屋根とは、平らな屋根のことです。

防水工事には、ウレタン防水(耐久年数:約10年)、シート防水(耐久年数:10〜15年)、FRP防水(耐久年数:約10年)、アスファルト防水(耐久年数:約15年)と様々な工法があります。

平らに見えても、雨水を流すために非常に緩やかな勾配がついていますが、それでも一般的な勾配の屋根に較べ、雨水が流れにくい形状であることは間違いなく、漏水の危険性が高いことが最大のデメリットです。

工法にもよりますが、10〜15年周期でのメンテナンスが必要です(以下、相場)。

  • ウレタン防水:4,500〜7,000円/㎡
  • シート防水:4,000〜7,500円/㎡
  • FRP防水:5,000〜7,000円/㎡
  • アスファルト防水:5,500〜8,000円/㎡

 

【まとめ】屋根材毎のデメリットとメンテナンス

屋根材デメリットメンテナンス
粘土瓦風、地震に弱い、高価不要(都度補修は必要)
セメント瓦風、地震に弱い、カビや苔が生えやすい約15年毎に塗装
スレート割れやすい約10年毎に塗装
トタン(亜鉛メッキ鋼板)遮音、断熱、耐久性低い
錆びやすい
約7〜10年毎に塗装
ガルバリウム鋼板遮音、断熱、耐衝撃性低い約15〜20年毎に塗装
ジンカリウム鋼板高価不要(釘浮きや下地材等の定期点検は必要)
ステンレス遮音、断熱、施工性低く高価不要(釘浮きや下地材等の定期点検は必要)
遮音、断熱性低く、酸性雨等で穴が開く、高価不要(釘浮きや下地材等の定期点検は必要)
アスファルトシングル勾配が緩い屋根には使えない、表面の天然石が剥がれて雨樋が詰まることもある、カビや苔が発生しやすい、薄く軽いため、強風でめくれることがある30年メンテナンスフリーのものもあるが、一般的なものは約10年毎に点検、塗装メンテナンスが必要
陸屋根の防水工法ではなく、屋根形状の問題だが、雨水が流れにくいため、漏水の危険性が非常に高い工法にもよるが、約10〜15年毎にメンテナンスが必要
屋根材まとめ

Point

屋根材自体の耐久性は高くとも、現在主流の下地材(ルーフィング)の耐久性は約20年と言われているため、20年毎に点検、場合によっては補修の検討をお奨めします。

メンテナンス

それでは、屋根のメンテナンスにはどのような方法があるのでしょうか? そして費用は?

実は工程などについては、施工業者それぞれに特色を出していることも多いため(一般的には1度しか施工しないことの多い工程を、当社では2度施工します、といった類のこと)、細かい工程については割愛し、それぞれのメンテナンスのメリットとデメリットと費用(相場)をまとめてみます。

なお、費用については、別途足場代などが必要になりますのでご注意ください。

 

塗装

高圧洗浄後、屋根材を塗装する工法です。

工事金額の相場としては、約40〜80万円程度(総2階で延床面積30坪ほどの家)です。

メリット

  • 費用が最も安い
  • 短い工期で施工できる
  • カラーバリエーションが豊富なので、好みに合わせて、かなり細かいオーダーにも応えられる

デメリット

  • 紫外線等により色褪せるので、定期的な塗装を繰り返さなくてはならないため、1回あたりのコストは安いものの、およそ10年前後でのメンテナンスを繰り返す必要がある

葺き替え

既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材を施工する工法です。

工事金額の相場としては、約60〜200万円程度(総2階で延床面積30坪ほどの家)です。

メリット

  • 屋根材だけでなく、下地材も補修するので、建物自体の寿命を伸ばすことが可能
  • 既存の屋根材が瓦など重い素材だったとしたら、葺き替えの際に、軽量な素材を選ぶことで、耐震性の向上なども見込める

デメリット

  • 既存の屋根材を撤去する際の騒音や埃による近隣とのトラブルの心配がある
  • 既存の屋根材の処分費も必要なため、工事費は高額になる
  • 工期が長い
  • 古いスレートだとアスベストが含まれているものもあるため、さらに工事費がかかる

カバー(重ね葺き)

既存の屋根の上に、防水シートと新しい屋根材を被せる(カバー)工法です。

工事金額の相場としては、約80〜120万円程度(総2階で延床面積30坪ほどの家)です。

メリット

  • 既存の屋根材撤去の手間がかからない
  • 騒音や埃の問題もかなり軽減される
  • 工期が短い
  • 工事費は葺き替えよりも格段に安く済む
  • 高額な処分費が発生するアスベストが含まれた屋根材でも、処分の必要が無い
  • 近隣への飛散のリスクやそれにまつわるトラブルを回避することができる
  • 既存の屋根の上にもう一つの屋根を重ねる形になるため、遮音性、断熱性などがアップする
  • 雨音がうるさい金属系の屋根にカバーした場合、遮音性の向上は顕著

デメリット

  • 瓦屋根の対応は不可
  • 既に雨漏りしていて下地などの補修が必要な場合には、施工できない

Point

雨漏りしてからでは遅いというのが現実。10年に一度は点検を依頼しましょう。<

雨樋

雨樋は、必ずしも定期的にメンテナンスが必要になるというものではありません。

しかし、飛来物等によって破損したり、木の葉等が詰まって雨水が流れなくなったりすることがあります。

大した雨量でもないのに、雨樋から雨水が溢れているといった異常が見られた場合は、速やかに点検依頼をしたほうが良いでしょう。

雨漏りする前にメンテナンスすることが重要

屋根は、風雨や日照などから住まいを守ってくれる大切な部位です。

傷みを放っておけば、雨漏りなど重大な問題に発展しかねません。

とはいえ、足場代を含むメンテナンス費用も決して安くはないため、そう簡単にメンテナンスすることもできないというジレンマを抱えています。

自宅ならば、万が一のことがあっても我慢すれば済むことかも知れませんが、投資物件だとしたら大問題です。

それによって、入るべき家賃が入らなくなることだってあり得るわけですから。

ですから、中古を購入する場合には、必ずリフォーム履歴の有無とメンテナンスにどの程度の費用が必要かについてリサーチしておくべきですし、新築ならば、屋根の素材にまでこだわっておくべきだと思います。

新築時に安易に屋根材を選んだり、中古住宅を検討する際に屋根のことなど気にもしなかったりすると、思いもよらない出費のリスクがあるのですから要注意です。

こんな時代だからこそ、慎重に先々のメンテナンスまで考慮した家づくりをオススメします。

 

 

 

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それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

住宅メーカー勤務。不動産で「絶対に失敗したくない」人に向けた情報を発信/ 所有資格: 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者他
※当サイトはアフィリエイトに参加しています。

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