本記事のテーマは「家事が楽になる間取り」です。
この「家事が楽になる家」をつくることができれば、使いやすくストレスのない暮らしができます。
広い家である必要はありません。むしろ、広くとも不便な家というのは世の中にあふれるほど存在しています。ほとんどの方にとって一生に一度の買い物であり、金額的にも最大級のものとなるマイホームですから、建てて後悔することほど切ないことはありません。
一つ一つわかりやすく解説して行きますので、どうぞ最後までお付き合いください。
家事が楽になる間取りとは?
家事が楽になる間取りとは、「家事動線の良い間取り」と言い換えることができます。
なぜなら、「家事が楽でない」と感じる間取りとは、主に以下の要素を備えたものであるからです。
動きづらい。
目的地への移動距離が長い。
欲しいものが欲しい場所にない。
(小さなお子さんのいらっしゃるご家庭なら)家事をする際、子供の様子がわからなくなる。
要するに、「家事動線が悪い間取り」ということです。
「家事動線」とは?
家事を行う際の経路のこと。
こうした家事動線の良し悪しを語るには、検証するべき家事動線が何なのかを知っておく必要があります。
検証するべき家事動線とは?
検証するべき家事動線とは、日常的に繰り返される家事に関する人の動きのことです。
まずはここを洗い出さなければ、そもそも検証することができませんので、気になるものを、ざっと書き出してみます。
検証するべき家事動線とは?
- 買ってきた食材を、玄関からキッチンや食品庫へ運ぶ動線
- ゴミ出しの動線
- 食事をつくる際のキッチン内の動線
- キッチン、洗面所、浴室、トイレ間の動線
- 洗濯機から物干し場への動線
- お掃除の際の動線
こうして検証する動線を洗い出した上で、先述した「家事動線の悪い間取り」というものを深掘りしてみます。
動きづらい間取りとは?
動きづらい間取りとは、主に3つの要因によって出来上がる間取りです。
1つ目は、作業動線が考えられていないこと。
これは例えばキッチンのワークトライアングルが考えられていないといったことです。
Tips
キッチンのワークトライアングルとは?
冷蔵庫、シンク、コンロ、それぞれの前面中心を頂点とし、その3つを結んでできるトライアングル(三角形)のことで、調理動線を分析する際に用いられる。
3辺の合計値が3.6〜6.6mが適当とされており、各辺が長すぎると動きに無駄が多くなり、短すぎると調理や配膳、設備機器や収納などのスペースが不足し使いづらくなる。
2つ目は、動線が複雑になっていること。
廊下が曲がりくねっていたり、部屋の中に凹凸が多く、簡単に言えば真っ直ぐ歩けないというのは、動きづらいと感じる要因です。
3つ目は、ドア同士が干渉して、1つを閉じないともう1つを開けない場所がある、といった間取りになっていることです。
いずれも単体で見ると些細なことかもしれませんが、毎日のことになると地味にストレスが溜まる要因となります。
目的地への移動距離が長い間取りとは?
目的地への移動距離が長い間取りとは、水回り同士が離れていたり、洗濯機から物干し場までの距離が離れている(洗濯機は1階、物干し場は2階)といったものが当てはまります。
洗濯機と物干し場が離れているというのは、2階建て以上の家では割と普通にあることですが、これらを同一階にするだけでもかなり家事の負担は軽減されます。洗面所と浴室を2階に設置し、バルコニーと隣接させるといった方法もありますが、LDKと離れてしまうというデメリットが生まれてしまいます。
陽当たりが悪い敷地なら、思い切ってLDKも2階に設置するという方法もありますが、買い物やゴミ出しの際の動線が悪くなってしまいますので、コレも注意が必要です。
実現したい項目に優先順位をつけて、総合的に検証しましょう。
欲しいものが欲しい場所にない間取りとは?
欲しいものが欲しい場所にない間取りとは、適材適所の収納がないとか、作業動線が考えられていない間取りのことです。
「適材適所に収納が無い」というのは、たとえば、トイレットペーパーなどの買い置きを収納する場所がトイレ周辺にないとか、洗濯機のそばに洗濯カゴを置く場所がないといった状態。その場で必要なものがすぐ手の届くところにないという状況は、毎日続くとそれだけでかなりのストレスとなります。
建物の大きさによっては、それぞれの場所に充分な大きさの収納庫を設ける余裕のないときもありますが、できるだけ近くに設置するという工夫があるだけでも、毎日の家事のストレスを軽減できます。
間違っても、家のどこか1カ所に大きな収納をつくっておけば大丈夫とは思わないでください。様々なものをまとめてしまえる大型収納は便利ですが、適材適所の収納はもっと重要です。
家事をする際、子供の様子がわからなくなる間取りとは?
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、お子さんを昼寝させた状態で家事をしなければならないといった状況がありますよね。
昼寝するのを待って、洗濯物を取り込んで畳むとか、夕食の準備をするとか。
こういったことを考えずに間取りをつくると、離れたところで家事をしているときに急に目を覚まして泣き出したりするのが不安で、常にソワソワして落ち着かないといったことになります。
見方を変えれば、お子さんが本当に小さい頃にしか必要のない考え方なのかもしれませんが、ここまで考えておくことで、さらに満足度がアップすることは間違いありません。
なぜなら、こうしたことに対処する方法は3つしか無いからです。
1つは、水回りを集中させた間取りをつくること。
2つめは、水回りとLDKをできるだけ隣接させること。
3つめは、家事コーナーを設けることです。
要するに、家事効率の良い間取りにし、さらに家事を効率的にこなせる専用のコーナーを設けるということです。
単に小さなお子さんのためだけ、というわけではなく、お子さんが成長してもなお、魅力的な間取りになる要素だとは思いませんか?
家事コーナーは、できればLDKが見渡せる場所に設置し、その出入り口はベビーゲートなどで仕切れるようにしておくと、小さなお子さんが勝手に入り込んで、作業途中のアイロンなどで怪我をするといった危険を未然に防ぐことができます。
また、キッチンは対面キッチンにしておくと、食事の支度をしながらでも、寝ているお子さんを視界に捉えやすい上、キッチンの入り口をベビーゲートなどで塞ぐこともできるため便利です。さらに大きめのカウンターを備えておけば、配膳や片付けの際にご家族に手伝ってもらいやすくなるので、小さなお子さんがいらっしゃらないご家庭でもオススメです。
オシャレなことで人気のアイランドキッチンは、ご主人やお子さんも一緒にキッチンに立つことができるので、家族のコミュニケーションの点ではメリットがありますが、小学生以下くらいの小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、ベビーゲートなどを設置することが難しいつくりのため、食事の準備中に周囲を走り回られるとか、刃物を使っている時に気がついたらそばにいた、といったヒヤリとする状況が起こり得るので注意が必要です。
家事を楽にするためのポイントとは?
最後にまとめとして「家事が楽になる間取り」をつくるポイントをまとめると、以下のようになります。
家事が楽になる間取りのポイント
- 動線はシンプルに
- 廊下は短く
- 扉同士が集中しないように(ぶつからないように)
- 水回りは集中させ、(2階建て以上の建物の場合)LDKに隣接。物干し場もできれば同じフロアになるように
- 収納は1カ所集中ではなく、適材適所の分散収納に
- 対面キッチンと家事コーナーを設置
上記6つのポイントを頭に入れながら間取りを検討するだけで、驚くほど「家事が楽になる間取り」が完成します。
なぜならここに挙げた6つのポイントは、全て「動線の悪い間取り」が持つ要素を反面教師として抽出したものだからです。
ぜひ、これらのポイントを踏まえ、「家事が楽になる間取り」づくりにお役立てください。この記事が、あなたの家づくりを成功に導くヒントの一つになれれば嬉しい限りです。
ただし、ここまでの話と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、動線ばかりに目を奪われると思いがけない落とし穴もあります。何事にもメリットとデメリットの双方があるということはお忘れなく。
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それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。