子供達が独立後、3LDKのマンションをワークスペース付きにリノベーション

この記事はこんな方にオススメです。

① マンションのリノベーションをお考えの方
② 子供たちが独立して、部屋が余っている方
③ 自宅にワークスペースを設けたいという方


「転勤などによって、住み続けることができなくなった」「子供たちが独立し、広さ(部屋数)を持て余すようになった」「出産や親を引き取るなどといった理由で、部屋数が足りなくなるため住み替え」「実家に同居することになった」「マンションから戸建、もしくは戸建からマンションに住み替え」「相続したが、使い途が無い」「住宅ローンが支払えなくなった」「火災や家族の自殺などが原因で引越さざるを得なくなった」などなど。

不動産を手放す理由というのは、幾つも考えられますね。

しかし住み替えの場合は、手持ちの不動産の売却額で次の物件の購入額を賄えれば問題ないでしょうが、それでは足りないこともままありますし、長年住み慣れた場所を離れることによるストレスもあることでしょう。だとすれば、のっぴきならない事情があるならともかく、今ある物件を活用する方法を探してみるのも一案かもしれません。

本記事では、中でも「広さ(部屋数)を持て余している」という方に向けてのアイデアを綴ります。

確かに2階建以上の一戸建ての場合には、子供たちが独立し、夫婦もしくは一人住まいでは持て余すだけでなく、維持管理さえ困難になるというのはわかりますが、そもそも一室あたりの広さが限られたマンションであれば、むしろ部屋数を減らすことで、それまでよりも快適な生活が送れる可能性は高いと考えます。

大手住宅メーカーで1,000の間取りをクリエイトしてきた筆者が、住宅のプロとして解説します。

目次

今回の提案

『3LDKのマンションをワークスペースのあるゆとりある2LDKに』

子供たちと一緒に生活しているうちは、狭いとか収納が足りないとか、そういった不満には目を瞑って過ごしていることも多いもの。

ですが、子供たちが巣立った後は、そういった縛りを思い切って捨ててしまうことが可能です。

今回の相談者の例を参考に、自分なりの未来設計をしてみませんか。

リノベーション前のベースプラン

間取りと広さ

3LDKのマンションです。

床面積は、約68.52㎡(20.72坪 ※ウッドデッキ含まず)。

実際には、このウッドデッキの先に専用庭が続いていますが、庭の提案は難しいので割愛させていただきます。

ベースプランの特徴

まずは間取図から読み取れる、ベースプランの特徴を図面上に書き込んでみます。

以下、もう少し詳細に解説してみます。

ベースプランのメリット

玄関収納は天井までのクロークタイプで四人家族の収納量としては充分ではないでしょうか。

三和土(たたき)部分の奥行も深いので、来客時など、靴を並べておくにも便利そうです。

13.8畳のLDKと続き間の和室は、来客時は個室としても使えるので、ご友人やご親族などが泊まる場所にもできそうですし、普段は襖を開け放っておけば、広く使い勝手も良さそうです。

ベースプランのデメリット

玄関ドアのすぐ横にあるドアのあるスペースは、“メーターボックス”と言って、給湯器やガスメーターなどが収められているのですが、このおかげで、5畳の洋室がかなりいびつな形状になっていることがわかります。

さらにこの洋室をいびつにしているのが、玄関のシューズクロークです。

また、洗面所はキッチンと廊下の二方向から出入り可能なため、一見便利そうに見えますが、実際には、人の通路を確保するために洗濯かごや収納家具などを置くスペースがありません。

あとはちょっとしたことですが、キッチンに設けられた収納が奥行40㎝ほどしかないことも気になります。

もう20㎝ほど深くとも、キッチンの使い勝手に影響は無いはずなのですが…

収納率の低さも気になります。

理想的には、延べ床面積に対し15%前後と言われる収納率が、5.8%に止まっています。

これでは、子供たちの道具さえまともに収納することは困難で、収納家具を室内に置くことでカバーはしているものの、家具が室内面積を圧迫しているのではないかと予想されます。

リノベーション後の新プラン

下書き

先述した不満点の解消と、依頼人の要望を叶えるべく、まずはアウトラインをざっくりと描いてみます。

今回のリノベーションのポイントは以下の通り。

  1. ワークスペースの確保
  2. 収納率のアップ
  3. 洗面所に洗濯かごなどの置き場を設ける

完成図

そうしてリプランニングした図面がこちらです↓

Before & After

リプランニング前後で比較してみましょう。

リプランニングのポイント

リプランニングのポイントを書き込んでみます。

まずは必要にして充分と思われていたシューズクロークを移動しました。

これによって、北側の6畳の洋室は少し狭くなるものの、南側にあるいびつな形の洋室を少しばかり使いやすい形状に改めることができます。

また、誤差程度ですが、シューズクロークの幅も増えています。

そのまま北側の洋室は、ワークスペースとして利用。

今回の依頼主は自宅でエステなどやられていたこともあるようですから、そういったことに活用いただけます。

それだけでなく、独立した子供たちが遊びに来た際などは、寝室としても使えます。

南側の洋室は寝室とします。

寝室のスペースは、メーターボックスとRCマンションならではの柱が邪魔をして、多少いびつな形状ですが、それでもシューズクロークを移設する前に比べたらまだ使いやすい形状になりました。

クローゼットは3.75畳とたっぷりの広さを確保しました。

次に水廻りを見てみます。

2方向の出入りができた洗面所でしたが、洗濯機スペースを移動し、あえて廊下からの出入りを無くすことで、洗濯かごやタオル類といった備品置き場を設けることができました。

LDKは、3.5畳ほど拡大することができました。

TVの置き場も確保しながら、家事にも、パソコンなどにも使えるコーナーも設置しました。

部屋の広さがあるということは、将来、子供たちがそれぞれの家族を連れてきたようなときには、ここに布団を用意してあげて、泊まってもらうこともできるということです(ワークスペースで収まらない場合)。

そして、収納率も13.89%と、約2.4倍ほどの増量を実現できました。

まとめ

今までであれば仕事をリタイアして、年金でのんびりと余生を送るなんてことが当たり前だった時代は終わりを告げ、人生100年といわれる時代となりました。

医療技術の発達や少子高齢化、年金制度の崩壊など、そうなる(そうならざるを得ない)要因はいくつもありますが、死ぬまで現役でいられるというのは、悪いことばかりではありません。

子育てが終わったら、今度は自分の好きなことをしながら生きていくというのは、ひとつの楽しみになりますし、そのために自宅を改装するというのは、ひとつの投資ともなります。

もちろん、子供たちが巣立つタイミングで自宅を売却し、その時点でベストと思われる場所、広さの住まいに住み替えるという手もあります。

しかし、そこで育った子供たちとの思い出は消えません。

子供たちにとってもそれは同様でしょう。

ノスタルジーに浸ることが最善とは思いませんが、マンションは特に古くなったときの値崩れ感が酷いため(もちろん建設地によって差はありますが)、ある程度古くなるまで(築後20年程度)住み続ける計画なのでしたら、リノベーションで心機一転、新生活を送ることも良いのではないかと個人的には思います。

何より、子供たちにとっての“ふるさと”が形を変えても残っているというのは、それだけで宝物のような気がします。

それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

住宅メーカー勤務。不動産で「絶対に失敗したくない」人に向けた情報を発信/ 所有資格: 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者他
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