[st-kaiwa2]
中古住宅の良し悪しがわからないんですが…
[/st-kaiwa2] [st-kaiwa1 r]
買ってはいけない中古住宅のポイントを説明しよう
[/st-kaiwa1]
本記事の内容
1. 「危険な中古住宅」を見極めるポイントがわかる
2. 「安心して購入できる中古住宅」のポイントがわかる
新築よりも値頃感のある中古住宅。
最近では、不動産業者がリフォームをしてから販売する「再生中古住宅」などと呼ばれるものも人気です。
リフォーム済みでキレイなのに、安い!
しかし、中古でも安いからには理由があります。
その安さの理由をきちんと理解して欲しいと思い、この記事を書くことにしました。
大手住宅メーカーで1,000の間取りをクリエイトしてきた住宅のプロとして、解説していきます。
[st-card myclass=”” id=”2″ label=”関連記事” pc_height=”” name=”” bgcolor=”” color=”” fontawesome=”” readmore=”on” thumbnail=”on” type=””]
中古住宅の『再生販売』とは?
中古住宅といっても、古いままで売り出されているものもあれば、ある程度キレイにした状態で売り出されているものもあります。
ここでいう『再生販売』とは、ある程度キレイにした状態で売り出されている中古住宅を指します。
外壁や内装はもちろん、水廻りの設備も新品に交換されていたりします。
それに比べ、古いままで売り出されているものは、以前の生活感とか生活臭といったものが染みついています。
誤解を恐れずに言えば、「薄汚れた感じ」が残っています。
[st-kaiwa5]
比べてみたら、ほとんど全員が『再生販売』してる方が良いって言うんじゃないかな…
[/st-kaiwa5]
中古住宅『再生販売』の仕組み
まず、中古住宅というものが、大きく3つのルートで市場に出てくるということを抑えてください(個人売買は除く)。
中古住宅が市場に出るルート
1. 不動産業者が他者所有物件を仲介
2. 不動産業者が自己所有物件を売却
3. 競売
3の競売は少し特殊なので、ここでは1と2について解説します。
Tips
『競売(けいばい)』とは?
主に住宅ローンの支払いができなくなった時に、債権者(金融機関)が融資金を回収するために抵当権を実行して、その住宅を売却することです。
債権者からの申し立てにもとづいて裁判所が競売の公告(掲示などをして広く一般に知らせる)をし、あらかじめ定めた期間に入札が行われ、そこで最高価格をつけた入札者が落札(購入する権利を得る)することになります。
入札前に内覧をすることはできないといったリスクがある上、入札の際には裁判所が定めた「売却基準価額」の2割以上を保証金として振り込まなければならないため、それなりに現金も必要になります(全て住宅ローンでの対応は不可)が、物件を相場の3〜5割程度で手に入れることも可能です。
不動産業者が他者所有物件を仲介
「仲介」とは、所有者の代わりに不動産業者が広告宣伝し、顧客を見つけて売買契約を締結する方法です。
この場合は、どこかの誰かが所有している物件を不動産業者経由で購入するだけなので、基本的には「現況渡し」(今現在の状態のまま引き渡すこと)となることがほとんどです。
また、不動産業者に仲介手数料を支払う必要がありますので、物件価格の他に仲介手数料を見込んでおかなければならないということは覚えておいてください。
仲介手数料の計算式
1. 200万円以下の物件 : 物件価格(税抜き)×5%+消費税
2. 200万円〜400万円以下の物件 : 物件価格(税抜き)×4%+2万円+消費税
3. 400万円超の物件 : 物件価格(税抜き)×3%+6万円+消費税
不動産業者が自己所有物件を売却
次に不動産業者が「所有不動産を売却」する場合を解説します。
中古住宅の『再生販売』もこちらに該当します。
『再生販売』は、不動産業者が中古住宅を一旦買い取り、リフォームした上で売り出すのが通常の流れです。
しかし、いかに『再生』とはいえ中古は中古です。
新築の建売住宅と競合するような値付けはできません。
そこで不動産業者は、次の2点を徹底します。
『再生販売』するためのポイント
1. 元になる中古住宅を、とにかく安く買い取る
2. 見た目には全力を注ぐが、見えないところには手をかけずにリフォーム
ちなみに、買い取り価格というのは、相場の5〜6割程度で購入しているケースが多いようです(もっと安く買い叩くケースもあります)。
そこまで買い叩かれても、とにかく即現金化したいという人もいるということです。
そして、目に見えるところだけはキレイにリフォーム。
これらによって、一見キレイで手頃な価格の再生中古住宅を生み出しているのです。
『再生販売』されている中古住宅のメリット&デメリット
まずは『再生販売』されている中古住宅のメリット、デメリットを理解してください。
再生中古住宅のメリット
1. リフォームされているので見た目がキレイ
2. 自分でリフォームする必要がないので余計なお金がかからない
3. 即入居できる
4. 新品の設備には保証がつく
5. 瑕疵担保保証などがつくケースも
再生中古住宅のデメリット
1. 元の状態がわからない
2. リフォーム、リノベーション工事の細かい内容がわからない
Tips
『瑕疵(かし)』とは?
見えない部分の欠陥のこと(例:必要な部材が取り付けられていなかったため、建物が傾いたなど)。
単純にモノが故障したことを瑕疵とは言いません。
メリットもありますが、この2点のデメリットがあるからこそ、私なら『再生販売』ではなく、薄汚れたままの『The中古住宅』を購入し、自分でリノベーションする道を選びます。
ただし例外もありますので、以下、順にご説明します。
「本当に知りたい元の状態」とは
本当に知りたい元の状態とは、単純にリフォーム前の詳細な状態です。
気になる点を以下にまとめます。
本当に知りたい元の状態とは
1. 屋根の状態
2. 外壁の状態
3. 室内の天井や壁の状態
4. 床下の状態
5. 元の設計図(簡易的な間取図ではなく、新築時の設計図)
設備は新しく更新されればリセットされますので、ここでは取り上げません。
事故物件かどうかといった問題も当然気になりますが、ちょっと違う話ですので割愛します。
それでは、上から順に見ていきます。
屋根の状態
建物の内覧に行ったとしても、屋根まで自分で確かめる人はいないでしょう。
少なくとも私は、案内したお客さんに屋根に上らせて欲しいと言われたことは皆無です(言われたところで上がってもらうわけにもいきませんが…)。
屋上のある家だったりすれば別ですが、意外と目にする機会のないのが屋根です。
風雨などから建物を守る大切なものなのに…。
下から見上げてもよくわからないため、割と傷んでいても、とりあえず塗装してしまえばごまかせる場所ですし、そもそも何もしていない可能性もありますので、できれば購入前に、キチンと写真を撮ってもらうなどして確認しておきたい場所です。
外壁の状態
屋根よりは目に入るものの、意外と見落としがちなのが外壁です。
内覧に行った際、外観全体をパッと見て、キレイだとか汚いといった判断はするのでしょうが、全体をくまなく見渡すことはほとんどないでしょう。
『再生販売』されている中古住宅では、よほどのことがない限り、外壁の重ね張りまではしません。
張り替えなど論外です(コストが高いので)。
元々の外壁が結構傷んでいる場合でも、無理やり塗装することがほとんど(部分補修程度はするようです)。
全体が塗装されてさえいれば、ツヤツヤとした光沢のおかげでリフォームしました感が溢れますから、お客さんの印象も上々でしょう。
しかしよく見れば、傷んでいるところに無理やり塗装した跡などはプロでなくても見分けることができます。
そこでオススメの外壁のチェック箇所をまとめておきます。
外壁の痛みが現れやすい箇所
1. 窓廻り
2. 陽当たりの良い場所(南側、西側)
3. 冬の季節風や風当たりが強い場所(北側、道路側)
4. 1階と2階の境目
5. 基礎との境目
6. 陽当たりが悪く、ジメジメした場所
こういった箇所に、明らかにささくれた状態や、パテでも盛ったかのような跡があったら要注意です。
表面は塗装されていても、外壁内部がボロボロになっている可能性があります。
こうなると、外壁がダメになるのは時間の問題ですから、購入してしまった場合、短期間のうちに外壁のリフォームを余儀なくされることがあり得ます。
塗装した業者を探し当てても、無償で修繕してくれたりということはまずあり得ません。
室内の天井や壁の状態
大切なのは、雨漏りしていた形跡がないか、ということです。
もちろん、今現在も雨漏りしているとすれば大問題ですが、そうではなく、過去に雨漏りをしたことがあったとすると、天井裏や壁の中に設置された断熱材が湿ってダメになっているケースがあります。
一般住宅でよく使われる断熱材「グラスウール」は、水分が大敵です。
水に濡れると断熱効果が一気に失われてしまうため、注意が必要です。
また、壁の中のグラスウールは、施工が悪いと経年劣化等により壁の中でずり落ちてしまうケースがあります(下図参照)。
このように断熱材がずり落ちて隙間が空いてしまうと、空いた部分は断熱効果のない場所になってしまいます。
このため、キチンとリフォームしようとすれば、壁の中を確認して、場合によっては断熱材の入れ替えを行う必要があるのですが、『再生販売』のようにお金をかけないリフォームの場合、そんな手間もコストもかかることはまずしません。
せっかくマイホームを購入するのなら、中古住宅であっても快適に過ごしたいものですよね。
床下の状態がわからない
ここで知っておきたいのは、シロアリの被害の有無と、配管類の傷み具合です。
シロアリの被害が問題なのはお分かりいただけると思いますが、配管類の問題はわかりづらいのではないでしょうか?
築年数が古いと、現在ではあまり使われていない素材が使われていることがあります。
そういった素材は傷みやすいので、できれば事前にチェック、場合によっては交換しておくことが望ましいのです。
また、シロアリの被害が無かったとしても、床下に湿気がこもっているような状態だったら、基礎に機械換気を設置するとか、防湿シートを敷き込むといった措置をしておいた方が建物を長持ちさせることができますので、いずれにしても床下のチェックは欠かせません。
元の設計図(簡易的な間取りではなく、新築時の設計図)
こういった図面↓を見たことはありませんか?
図示したとおり、柱(四角)の位置と筋交い(すじかい)の位置を示したものです。
直角三角形で示された壁にはN(もしくはNの逆)字型に筋交いが入れられています。
筋交いがたすき掛けになった壁(△で示された壁)は「耐力壁」といって、建物を支える大切な壁です。
[st-kaiwa5]
こんな図面、素人が見たってわかりません…
[/st-kaiwa5]
そんな考えは間違いです。
構造的に強いか弱いかといったことは、もちろんプロでないと判断は難しいものですが、こういった図面が無いと、エアコンを新たに設置する場合に問題になるのです(下図参照)。
エアコンを新規設置する際、壁にダクト用の穴を開けるわけですが、図のように筋交いに穴を開けてしまうと建物の構造をダメにすることになりますから、闇雲に開けるわけにいかないのです。
そこで役立つのが、新築時の設計図です。
こういった図面が保管されていないとなれば、家自体の管理もずさんだった可能性も出てきます。
また、過去に耐力壁が一枚もない家というのを見たことがあります。
こういったことは、そもそも構造計算が必要ない建物(四号建築物)の存在が認められているというのも一因でしょう。
[st-minihukidashi fontawesome=”” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#4FC3F7″ color=”#fff” margin=”0 0 20px 0″ radius=”” position=”” myclass=”” add_boxstyle=””]四号建築物について知りたい方はこちら[/st-minihukidashi]
[st-card myclass=”” id=”4791″ label=”関連記事” pc_height=”” name=”” bgcolor=”” color=”” fontawesome=”” readmore=”on” thumbnail=”on” type=””]
安全性を考慮すれば、耐震補強にお金をかけるか、そもそもそんな家は購入しないのが一番ですから、そういった判断材料にするためにも、図面はあるに越したことはありません。
リフォーム履歴があれば、より安心ですね。
リフォーム、リノベーションの細かい内容がわからない
先述したとおり、目に見える部分はキレイにされます。
それは商品である以上、当たり前です。
しかし、見えない部分こそが最も大事な部分なのです。
一見、気付きにくいポイント
・ 実は屋根に穴が開きそう
・ 実は外壁がボロボロ
・ 実は床下の配管は交換するべき状態
・ 実は壁の断熱材がダメになっている…など
中古住宅の『再生販売』は、これらが全く見えないのが不安なのです。
『再生販売』でも安心できる物件とは?
もちろん、全ての『再生販売』されている中古住宅が危険だと言っているわけではありません。
それでは安心感のある『再生販売』中古住宅とはどんなものでしょうか?
まとめてみます。
安心感のある『再生中古住宅』
1. ハウスメーカーの建物
2. リフォーム、リノベーションの記録が細かく残されている
ハウスメーカーの建物
ここでいうハウスメーカーとは、主に全国展開しているいわゆるプレハブメーカーのことを指します。
ハウスメーカー具体例
・ 積水ハウス
・ ダイワハウス
・ ミサワホーム
・ ヘーベルハウス
・ セキスイハイム
・ トヨタホーム
・ パナソニックホームズなど
ここに挙げたメーカー以外にもありますが、単に全国展開しているフランチャイズの木造住宅は含めません。
理由は、その構造躯体にあります。
「プレハブ」とは、英語のPrefabricationを日本語的に略した言葉です。
工場で部材を加工、メーカーによってはユニット化し、建築現場へ搬送して組み立てるものです。
現場で部材を調達する必要がないうえ、職人の腕の良し悪しによって出来不出来が少なくなるように考え抜かれています。
これらのハウスメーカーの家は、基本的に構造計算がなされているため、大地震における被害の少なさを売りにしているところも多く、中古住宅で最も不安な構造部分の安心感は群を抜きます。
わかりやすい例でいえば、気温はマイナス60℃超、風速80mのブリザードが吹きすさぶ南極の昭和基地も、ハウスメーカーの建物が採用されています。
参照記事↓
ただし、ハウスメーカーの家とはいえ、それだけで盲目的に信じて良いわけではありません。
所有者が勝手に耐力壁を撤去するようなリノベーションをしていないとも限らないので、やはり新築時の図面や、リフォーム履歴があるに越したことはありません。
ただし、同程度の築年数の他の中古住宅に比べると、金額的にはやや高額です。
リフォーム、リノベーションの記録が細かく残されている
ビフォーアフター(Before & After)の写真や修繕項目などを細かくデータとして残していて、それを販売資料として公開しているような物件なら安心です。
ただし、「細かく残している」というのがポイントで、単に工事前と工事後の写真だけを公開していても充分とは言えません。
あくまでも、知りたいのは普段見えない場所がどうなっていたか、です。
そういった部分もキチンと調査した結果、こうした工事をしましたよという情報がなければ意味がありません。
まとめ
最近、仕事でお会いする業者さん達と打ち合わせした際、こんな会話がありました。
[st-kaiwa3]
◯◯町で『再生販売』している中古住宅が酷いよ…
[/st-kaiwa3] [st-kaiwa4 r]
××町で『再生販売』してる中古住宅を、自分の知り合いが購入しようとしたら絶対に辞めさせるわ
[/st-kaiwa4]
(※全て異なる物件です)。
「リフォームしてこの価格!?」と、目を疑いたくなることの多い『再生販売』中古住宅。
しかし、安さにはキチンと理由があるのです。
いくら安いとはいえ、不動産です。
住宅ローンを組んで購入することも多いはずですから、キチンと吟味して、せめて住宅ローンの返済期間くらいは安心して暮らせる物件を探しましょう。
最後に改めて書きますが、私なら間違いなく素の状態の中古住宅を購入(安いから)し、キチンと調査した上で自分好みにリノベーションを楽しみたいと思います。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。