限られたスペースの中で、充分な居室面積と収納量を両立させる方法

 

 

 

[st-kaiwa2]収納がたくさん欲しいけど、必要な部屋の大きさがわからないので、どこまで収納に割り振って良いのかを知りたいです[/st-kaiwa2]

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個室に必要な大きさの基準がわかると、間取りを考えやすくなるぞ

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こんな方におすすめ

  • 子供部屋や寝室などに必要な大きさの基準が知りたい方
  • 限られた大きさの中で収納量を増やすリノベーション案を知りたい方

 

基本的な間取りは良いのに収納が足りない…そんな建物をいくつも目にします。

延床面積で100坪もあるような豪邸ならそんなことは中々ありませんが、20〜40坪くらいのコンパクトな建物になると、限られた延床面積の中で、収納も欲しいが居室の面積も欲しいという悩みを抱える方がほとんどだと思います。

そういった悩みは、居室に必要な大きさがわからないとか、どれだけ収納を確保したら良いのかがわからないということが原因です。

 

そこで本記事では、居室に必要な面積を計算するための考え方と、サンプルプランを用いた収納を増量するリノベーション案をご紹介します。

 

 

大手住宅メーカーで1,000の間取りをクリエイトしてきた筆者が、住宅のプロとして解説します。

 

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必要な部屋の広さを知るために覚えておくべきこと

必要な部屋の大きさを知るためには、そこに設置する家具の大きさを知らなければ始まりません。

なので、まずは各居室にどんな家具や電化製品を置くのかを考えてみてください。

ただしLDKは可能な限り広く確保したいという方ばかりでしょうから、そこは置いておいて、個室を徹底的に検証するべきです。

その際、片付けられるもの(クローゼット内に入れても問題ないもの)は除外し、とにかく部屋の中に置かなければならないものを書き出してみてください。

子供部屋なら、おそらくは机、ベッド、本棚くらいのものではないでしょうか。

テレビについては、以前よりも需要が減ったように思います。

テレビ自体が薄型化し、置き場がなければ壁掛けにもできますし、何よりテレビよりもスマホやタブレットを眺めるという方が増えました。

そういったことを考えると、とりあえず押さえておくべきは、机とベッド、本棚ですが、机や本棚は場合によっては大きさをよりコンパクトなものに変えたり、そもそも置き場所を個室にしないというご家庭もあります(勉強はLDKで、本棚は廊下に設置したり等)が、ベッドだけはそうはいきません。

そこで、まずはベッドの種類とおおよその寸法を知っておきましょう(下図参照)。

 

 

それに加えて、机や本棚など既にお持ちのものがあれば、その寸法も押さえておくと良いと思います。

 

そして結論ですが、ご夫婦のお部屋なら6畳前後、お子さんのお部屋なら机を置くなら4.5畳前後、机は置かず、ベッドを置いて寝るだけなら、3畳前後もあれば個室としては成立します。

ただしこれは、服などをきちんとしまうことができる収納スペースは別に確保できているという前提があってこそ、です。

収納スペースというのは、本当に重要なのです。

 

[st-minihukidashi fontawesome=”” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#4FC3F7″ color=”#fff” margin=”0 0 20px 0″ radius=”” position=”” myclass=”” add_boxstyle=””]収納に関する記事はこちら[/st-minihukidashi]

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サンプルプランを用いてのケーススタディ

ベースプラン

ここでサンプルプランを用いて、実際に収納不足と思われる建物をリプランニングしてみます。

この手法は、中古住宅をリノベーションする際だけでなく、新築時に間取りを検討する場合にも有効ですので、覚えておいて損はないです。

 

4LDKの二階建て。

延床面積105㎡(32坪)※バルコニー含まず。いずれも小数点以下切り捨て。

 

 

 

良い点、気になる点

 

基本的に無駄のないプランだと思います。

 

奥行きが無い代わりに、横にひたすら長い玄関というのは、家族で出かけて帰宅した際や、複数の来客があった際などには、横に並んで靴の脱ぎ履きができるので、意外と便利なのかもしれません。

これが逆に幅が狭いと、靴の脱ぎ履きのために団子になってしまう可能性があります。

玄関に入って正面の壁も横に長いので、絵や写真などを飾るにも良いスペースになりそうです。

 

 

 

 

延べ床面積に比べて、各居室の広さは確保されているものの、収納率は7.6%とかなり少なめです。

 

ここでポイントとなるのは、2階の個室です。

 

子供部屋でも各6畳、主寝室に至っては10畳とかなり余裕のある大きさが確保されています。

ここで、先述した最低限必要な個室の広さに準じて見直してみれば、子供部屋で各1.5畳、主審室では4畳もの余裕があることになります。

あえておしゃれなアンティーク家具を室内に飾りたいというご家庭でなければ、この2階には、なんと7畳もの空間(一部屋+収納くらいは充分にある)が余分に存在すると言えそうです。

これをいかにして収納空間に転換するかが、収納不足を解消する鍵になりそうです。

 

 

前提条件と数値目標の設定

 

建物の外周はそのままとします。

そのため、4.5畳と、やけに大きいバルコニーが少し勿体ないというか、気にはなりますが、そこもいじらないでおきます。

また、部屋数は変えず、収納量をどこまで増やせるか試してみます。

目標とする収納面積は、延床面積の15%です。

 

 

充分な居室面積と、理想的な収納量を両立した新プラン

 

 

そうして作成した新プランです(下図参照)。

 

 

まずは1階から細くみていきます。

 

 

変更点は上図の通り4箇所です。

 

 

 

 

①玄関のレイアウトを変更し、窓を廃止。

 シューズボックスをシューズクロークに変更。

 先程誉めたばかりの横長の玄関でしたが、レイアウトの違いを見て頂きたかったので、あえて変えてみました。

 どちらでもお好みで決めて頂いて良いと思います。

 

②リビングのTV設置箇所の両サイドに収納スペースを新設。

 観葉植物や雑貨などを並べて”見せる収納”にするも良し。

 中に可動式の棚などを設置して、扉で隠す普通の収納にしても良いと思います。

 

③対面キッチンのカウンターを拡大し、ガスコンロの手前に収納を新設。

 カウンターにコーヒーメーカーなどを置くのなら、カップやコーヒー豆などはこちらに収納しても良さそうです。

 

④キッチンと洗面所の間にゴミ箱や洗濯かごなどの置き場を新設。

 下図のように、ひとつのスペースを上下で使い分けることが可能です。

 

 

 

 

 

続いて2階の変更点は下図の通り4箇所です。

 

 

①図面右上の洋間にあった収納を廊下から使えるように変更。

 

②図面右上の洋間のレイアウトを変更。

 収納も新設。

 机を置けるスペースを予め用意。

 

③図面左の洋間のレイアウトを変更。

 収納を拡大し、ウォークインクローゼットに変更。

 図面右上の洋間と同様、机を置けるスペースを用意。

 

④図面右下の洋間をサイズダウンし、その代わりに4.5畳もある大きなウォークインクローゼットを新設。

 

 

不満のない生活には、不満のない収納量が不可欠

 

 

数値目標として15%に設定していた収納率は16%となりました。

これだけあれば、スッキリと綺麗に暮らせると思います。

理想的と言われる収納率15%を確保しようとすると、結構居室面積を奪われます。

しかし、家族の成長と共にモノは増え、捨てられない思い出の品も増えていくのは確かです。

少しでも収納を減らして居室面積を増やすためには、そこで暮らすご家族に、ミニマリスト的な生活、もしくは定期的な断捨離が必要となります。

特に、収納不足を感じていないような場合でも、定期的な断捨離はおすすめです。

今はメルカリなんかもあるので、中古の買取業者に持ち込む手間がなく便利ですし、想像以上に色々買ってもらえます。

以前、趣味で作ったガンプラ(素組み)を部品取り用として出してみたこともありましたが、思った以上に高く売れてビックリでした。

また、買取業者よりも格段に高く売ることができるものもあります(以前、ヘッドフォンを販売したことがありますが、中古の買取業者の査定額より数千円高く買ってもらえました)。

 

 

画像引用元: App Store

 

 

また、今はミニマリストを目指すなんて極端なことはしなくとも、本は電子書籍、音楽や映画はサブスク等で楽しみ、CDやDVDは購入しないということを徹底するだけでもかなり状況は変わると思います。

 

家づくりは”箱”をつくるだけではなく、その後の生活提案も含めてこそ、です。

 

中でも収納量は、どれほど多く設けても、過去一度も「収納が余って困っている」といったご意見を頂いたことはありません。

ご家族が将来、どんなことに興味を持つのか、どんなものを大切にするのか、そういったことによっては、とにかくモノが増える可能性は消し去ることができません。

未来のことはわからないからこそ、周到に準備しておく必要があります。

 

それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

住宅メーカー勤務。不動産で「絶対に失敗したくない」人に向けた情報を発信/ 所有資格: 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者他
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