[st-kaiwa2]2階にLDKを移動したら陽当たりは良くなりそうですけど、使いづらくなりませんか?[/st-kaiwa2]
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確かに2階LDKならではの使い勝手というのは出てくるな。
メリットとデメリットをまとめてみるので、判断材料に使ってくれ。
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こんな方におすすめ
- 1階LDKの中古住宅を2階LDKにリノベーションする案を知りたい方
- 2階LDKのメリット・デメリットがわかる
- 1階LDKのメリット・デメリットがわかる
南側隣地の建物のせいで陽当たりが悪い場合、LDKを2階につくれば、ほとんどの場合、陽当たりの問題は解消されるはずです。
しかし、2階にメインの生活スペースを設置することで生まれる、独特の使い勝手も生まれます。
もちろんメリットもデメリットもあるわけですが、これらを知らずに建ててしまうと、後悔する場合もあります。
そこで本記事では、2階建の家の間取りを考える際、LDKを2階に設けることのメリット・デメリットと、1階にLDKを設置することのメリット、デメリットを併せて考えてみます。
大手住宅メーカーで1,000の間取りをクリエイトしてきた筆者が、住宅のプロとして解説します。
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2階LDKのメリット・デメリット
まずは2階LDKにした場合に想定されるメリットとデメリットをまとめてみます。
2階LDKのメリット
- 1階LDKよりも陽当たりを確保しやすい
- 1階LDKよりも風通しを確保しやすい
- 1階LDKよりもプライバシーを確保しやすい(周囲の環境による)
- 洗面・浴室も一緒に2階に設置すれば、防犯性を確保できる(覗きなどの防止)
- 洗面・浴室も一緒に2階に設置すれば、洗濯物の家事動線が効率化される
- 1階が個室であれば、柱や壁が2階よりも密になるため、耐震面で有利
- 1階が個室であれば、個人の荷物など重量のかさむものを1階に集中させることができるため、耐震面で有利
- 1階が個室であれば、夜中に1階に家族がいることになり、防犯面で有利
2階LDKのデメリット
- 食材などの買い出しの際、2階まで重い荷物を持っていかなければならない
- 1階が個室であれば、帰宅してすぐに個室があるため、家族が顔を合わせづらい状況にもなり得る
- 1階が個室であれば、夜中にこっそり抜け出すようなことも容易
- 郵便、宅配業者や来客時の対応に階段の上り下り分、時間がかかる
- キッチンや洗面、浴室などが全て2階だと、漏水した場合に手間も修理費もかかる
- 2階用のバスユニットは1階用よりも高額
- 上下水道やガスなどの配管工事費が1階設置よりも高額
- 庭のスペースがあっても、庭とLDKを直結できない(緑のある空間を作りたければ、バルコニーなどを緑化する他ない)
1階LDKのメリット・デメリット
それでは、続いて1階LDKにした場合のメリット・デメリットをまとめてみます。
1階LDKのメリット
- 帰宅してすぐにLDKという間取りは、家族が顔を合わせやすい
- 買い出しの際、荷物の搬入がラク
- 水廻りが1階だと、2階設置よりも低コスト
- 万が一の漏水トラブル時、2階設置よりも低コストで解決できる
- 郵便、宅配業者、来客時などの対応がラク
- 庭のスペースがある場合、庭とLDKをひと繋ぎの空間にできる
1階LDKのデメリット
- 2階LDKよりも陽当たりが確保しづらい
- 2階LDKよりも風通しを確保しづらい
- 1階LDKよりもプライバシーを確保しづらい(隣家と目が合うのでレースのカーテンを開けることもできないなど)
- 洗面・浴室も1階なら、防犯面に注意しなければならない(未だに意外とある覗きの被害など)
- 1階に洗面、浴室、2階にバルコニーや物干し場がある場合は1階で洗濯したものを2階に運ばなくてはならないのが重労働
- 夜中に誰も1階にいなくなる(間取りによる)と、泥棒などの侵入に誰も気づかない可能性がある
- 2階が個室になると、様々な重量物(ベッドや家具、個別の荷物など)が2階に集中するため、広い空間を確保するLDKが1階だと柱や壁が少なくなるため耐震面で不利
このように両者を比べると、実は2階LDKの方がメリットが多いと言えなくもありません。
しかし、何を重要視されるかはご家族それぞれの価値観によるところが大きいと思いますので、ご自身の価値観に当て嵌めてご判断ください。
続いて、2階LDKのメリットを重視して、1階LDKの間取りを2階LDKにリノベーションするご提案をサンプルプランとしてご紹介します。
「敷地が北向きでも明るいLDK」という提案
北向きの敷地だというのに明るいLDKを実現するために採用したのが2階LDKの間取りです。
2階LDKで、高い天井に設けたトップライトからも陽が差し込みます。
さらに、2階に水廻りを一式揃えただけでなく、ランドリーコーナーも設けたことで、お洗濯から物干し、アイロンがけなど一連の動作がストレスなく行えるようになっています。
今回は以下のテーマでリノベーションします。
Point
- 北向き住宅の陽当たりの改善
- 家事動線の効率化
- 収納量拡大(延床面積に対して15%以上)
リノベーション前のベースプラン
2階建4LDKの中古住宅。
延床面積は92㎡(28坪)※いずれも小数点以下切り捨て。バルコニー含まず。
ベースプランの気になる点
❶玄関周りの収納が不足気味です。
元々、玄関の面積が狭いのでシューズボックスにしたと思うのですが、あえてシューズクロークにしてあげることで、家族の靴をキチンとしまえて、傘なども目につかないようにできますから、整然と広く見せることが可能となります。
また、階段下に収納があるのですが、高さがまるでない収納です。
上図のように、下から4段上がった下の収納ですから、床からの高さは50〜60cmくらいのもの。
無いよりは良い、くらいの収納です。
❷LDKも2階バルコニーも北向き
これは、南側隣地の建物のせいで南側からの採光が期待できないために、それよりは幾分かマシ、ということで、障害物のない道路側である北側に設けたということなんでしょうが、今回はこれをきちんと改善したいと思います。
❸全体の収納量が少ない
延床面積に対する収納率は、現状では9.5%に止まっています。
理想的には15%前後と言われていますので、この数値を目指してリプランニングしていきます。
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リプランニング後の新プラン
そうして完成したのがこのプランです↓
1階 2階
ご覧の通り、1階と2階それぞれにあった部屋を入れ替えました。
まずは1階から詳しく見ていきます。
玄関周りはシューズボックスを備え、それに併せて三和土(たたき)のスペースを拡げました。
子供部屋となるはずの5畳の洋間は、どちらも南側に並べて配置し、それぞれに窓を2ヶ所設けてありますので、明るさも通風も採りやすくなりました。
北側に設けた主寝室は、2畳のウォークインクローゼットと、1.5畳の収納を設けました。
ウォークインクローゼットと、一般的な収納には、以下のような違いがあります。
ウォークインクローゼットの場合は、中に入って作業するスペースも考慮しておかなければならない点にご注意ください。
また、廊下から使える1畳の共用収納もありますので、清掃道具や災害時の備蓄品などをしまっておくのに便利です。
それと、1階のトイレは階段下に設けてあるため、天井が低いのです。
1階のトイレは家族専用とし、来客には天井も通常の高さの2階トイレを使ってもらうという方が印象は良さそうです。
実益というよりは、単に見栄の問題です。
でも、ようやく手に入れたマイホームですから、ちょっとくらい見栄を張っても良いと思います。
続いて2階です。
LDKと共に、洗面所と浴室も家事効率アップのために2階に移動しました。
洗面所のすぐ横にはランドリーコーナーを設けました(下図)。
これによって、2階建て住宅にありがちな、1階で洗濯し、洗濯物を干すために2階のバルコニー、もしくはランドリーコーナーに移動する、といった手間が大幅に軽減されます。
ただしこのリノベーションを実現するには、元々屋根のなかったバルコニー部分に屋根をかけて、外壁で囲うという工事が必要なため、高額な工事となることにご注意ください。
また、洗濯かごなど、洗面所に置く備品類は、洗濯機の上に棚を設けてそこに置くスタイルです。
他には、LDKの壁面を利用して、できる限り収納量を増やしています。
実はこれによって、ダイニング部分に窓が設置できていないのですが、2階LDKのため、トップライト(天窓)で採光をカバーしています。
ちなみにこの収納は、扉のついた完全な収納にも、扉をつけずにオープンな飾り棚にもできますので、LDKを観葉植物や雑貨などで彩りたいというご希望があるのでしたら、そちらの方が目的には合致すると思います。
なお、これらの変更によって、収納率は15.6%まで改善できました。
実は「陽当たり」だけではない、2階LDKのメリット
ベースプラン1階 ベースプラン2階
新プラン1階 新プラン2階
2階LDKのメリット・デメリットと1階LDKのメリット・デメリットとを押さえた上で、北向きの中古住宅をベースとした「陽当たりの解消」と「収納量のアップ」というテーマでリプランニングしてみました。
陽当たりの改善に効果抜群であるだけでなく、実は防犯面などでもメリットの大きい間取りだということが伝われば幸いです。
「歳をとってから大変そう」と思う向きもあるかもしれませんが、これをメリットにもデメリットにも入れなかったのは、2階建以上の複層階の建物であれば、どのフロアに何があろうと、階段がある限り、結局は上下階の移動が必要となるため、あまり関係ないというのが現実です。
ご心配であれば、はじめからホームエレベーターを設置、もしくは将来設置するためのスペースをあらかじめ考慮しておけば良いのですし、さらに言えば、平家かマンションへの住み替えをお考えになる手もあります。
売却に際してご相談する会社を探すならこちらのサイトがオススメです。
それでは、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。