築43年の平屋を、緑に包まれる癒しの平屋にリノベーション

本記事を読んで欲しい方

  • 平家のリノベーション案をお探しの方
  • 2人で暮らす住まいをお探しの方
  • 坪庭を望む浴室に憧れている方

古い平屋住宅を、いわゆるDINKs(共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦、またその生活観のこと。”Double Income No Kids”の略)、もしくは子育てを終えたご夫婦が快適に暮らすための住まいを考えます。

某住宅メーカーで1,000の間取りをクリエイトしてきた住宅のプロとして、解説します。最後までおつきあいいただければ幸いです。

今回のご提案

『緑に包まれ、陽光溢れる住まい』

現代社会においては、否応なく無機物に囲まれた生活を強いられます。

だからこそ、観葉植物であれ、庭木であれ、身近に緑のある生活を求める方が多いのではないでしょうか?

今回の【リノベーション】では、緑に包まれた心安らぐ環境で、2人の生活を満喫できる、そんな住まいのご提案をしたいと思います。

ベースプラン

間取りと広さ

築43年になる2Kの平屋建住宅が今回のベースプラン。

床面積は77㎡(23坪 ※いずれも小数点以下切り捨て)

ベースプランの特徴

間取図から読み取れる、ベースプランの特徴を図面上に書き込んでみます。

ベースプランのメリット

豊富な収納量

まず、なんと言っても収納が充実している点は大きなメリットです。

図面の右上にも書き込みましたが、床面積に対して、なんと21.29%も確保されています。

一般的には、床面積に対して15%前後が理想的な収納量と言われていますから、その数値を遥かに超えた収納量を確保しているということになります。

収納が少ないというのは、間違いなく不満に繋がる要素ですから、これだけの収納量が確保されているというのは、買い手からすれば大きな安心要素です。

陽当たりの良い居室

建物の南側(図面の下側)をご覧ください。

窓だらけ。

とにかく陽当たりの良いことが予想されます。

暗くジメジメした家が欲しいと思う人はいません。

これだけでも大きなメリットでしょう。

ベースプランのデメリット

玄関収納が足りない

カウンタータイプの下駄箱が設置してあるだけです。

2人なら大丈夫?

いやいや、2人とはいえ、冬用のブーツなどもスッキリしまうためには、それなりの収納量が必要です。

できれば、傘立てなども玄関内で目立たないところに設置できればベターでしょう。

見るからに使いづらいキッチン

広さだけ見れば、4畳となっていますが、キッチン自体の幅は狭く(畳の長手と同寸)、奥行きが長い空間となっているので、冷蔵庫や食器棚の置き場にも苦労しそうです。

ただし、食器棚自体は作り付けになっている様子も見受けられます↓

ただし、お世辞にも使いやすいとは言えません。

調理の際、食器を取るためだけに5〜6歩移動しなければならないとか、非効率にも程があります。

無駄な廊下

延床面積77㎡の内、なんと10㎡が廊下です。

もちろん、必要不可欠な部分はあるにせよ、洗面所出入口周辺のスペースは本当に無駄↓

ここだけで6㎡強も使っているのです。

例えば、敷地の北東角(図面の右上)の部分に、とてもキレイな桜の木があったとします。

廊下から眺めますか?

どうせなら、お部屋から眺めたくはないですか?

仮に、南東(図面の右下)の和室から眺めようとすると、片側しか開けられない襖が邪魔して、キレイには見られない状況です↓

襖を2枚とも外すというやり方もありますが、それでもやはり廊下からでなければ見づらいことに変わりはありません。

寒そうなお風呂

広さは1.25坪と余裕のある空間であり、かつ、窓も大きめに取ってあるので、先述したように、敷地の北東の角に、見応えのある樹や、ライトアップした石庭などがあるのであれば、それらをお風呂からも眺めて楽しむという、ちょっとした温泉宿のような雰囲気を楽しむことができます。

しかし、浴室の広さの割に小さな浴槽など、気になるところもあります。

何より、築年数を考慮しても、寒そうだなという感覚が拭えません。

明るい居室…だが

南側にまとめられた2室の和室は、いずれも明るく気持ちの良い空間でしょう。

しかし、全体的に窓が多過ぎます。

特に、南東の和室は、建物の角となる部分に柱さえなく、窓だらけにしています。

壁は建物を支える重要な要素です。

ここまで↑開放的だと、万が一の地震などの際に、倒壊してしまう恐れもあることは理解しておくべきです。

なお、もう一点気になった点として、二室ある和室のうち、おそらくは陽当たりの良い和室がリビングだったのでしょうが、キッチンから離れた位置にあるので、ひょっとして寝室?などという疑問も湧きましたが、今回のリノベーションにはあまり関係ないので割愛します。

アナザープラン

先述したメリット、デメリットを踏まえた上で、リプランニングしてみます。

下書き

とりあえずザックリとアウトラインだけ。

今回のリノベーションにあたり、ポイントは以下の通り。

Point

  • スッキリとした玄関にするため、シューズクロークを設置
  • お風呂は最新のものに入れ替え、広さも少し調整して、ギリギリの広さしか無かった洗面所を拡大
  • LDKは、友人や親族が集まっても良いように広く、開放的に
  • 窓だらけの南側に多少でも壁や柱を入れて補強したい
  • 寝室は陽当たりも広さも最低限で良い

完成図

そうしてリプランニングした図面がこちらです↓

Before & After

リプランニング前後で比較してみましょう。

リプランニングのポイント

リプランニングのポイントを図面に書き込んでみます。

玄関は、下駄箱を廃し、シューズクロークを設置。

その隣の納戸はシューズクロークに面積を割り振っただけで、位置等は変えていません。

トイレは変わらず廊下からですが、洗面所はLDKから入る形にしました。

冬場などは、お部屋の暖房効果が洗面所にまで及ぶことも期待できますし、何より無駄な廊下を廃し、LDKをより広く感じさせることができます。

これによって、敷地の北東を坪庭として、お風呂からもLDKからも好きな時に楽しめるようにもなりました。

ただし、浴室から坪庭を望めるというのは、裏を返せば、坪庭側からも浴室を望めるということ。隣近所の窓位置等によっては、実現が難しいものであることは、知っておく必要があります。

LDKはオープンキッチンを採用し、正面の以前は仏間のような空間をTVを設置するスペースにすることで、キッチンに立ちながらもTVを楽しむことも可能です。

また、象徴的だった南東角の窓は、コーナー部分に柱型を設け、日照の良さと開放感だけでなく、万が一の安全性にも多少は配慮した形にしました。

それに加え、南西側に移動した寝室も含めて、既存の窓を壁に変えて、これも安全性を高める意図でやっています。

寝室は6畳と、2人でお休みになるにはちょうど良い大きさです。お部屋の収納自体はそれほど多くはありませんが、一歩廊下へ出れば、目の前に納戸がありますので、季節のものや、捨てることのできない思い出の品々などは、ここに大切にしまっておくことが可能です。

まとめ

このイメージ図のように、敷地の北東角に坪庭、東側から南側にかけては芝生や植栽など緑の多いガーデンを設けることで、まるで緑に包まれるような暮らしを手に入れることができます。

慌ただしい日常を離れるために、何処か旅行に行くのも良いですが、毎日、家に帰れば癒される、そんな暮らしはとても素敵だと思います。

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

住宅メーカー勤務。不動産で「絶対に失敗したくない」人に向けた情報を発信/ 所有資格: 宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者他
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