カリモク家具(略称:カリモク。以下、カリモクと記載)といえば、愛知県に本社を持つ家具業界最大手。多くのファンを抱える人気メーカーです。住宅業界に身を置く私の周りにも、「家具はやっぱりカリモクじゃないと」と熱く語る人がいます。
そのカリモクで一番人気のソファが「ZU46/UU46」です(2022年2月現在)。
業界最大手の人気ナンバーワンだから、全てのソファの中で人気ナンバーワンだというつもりもないですが、それでも、大多数が支持している、ということの裏付けにはなるでしょう。
本記事執筆中の2022年2月現在、わが家は購入した新築マンションの完成を間近に控え、新調する家具や家電を物色中。その中でも一番の大物がリビングに置くソファでした。いろいろ探している中で、このZU66/UU66に出会ったのですが、見れば見るほど気に入って、このソファに決めたい、と思った瞬間がありました。しかし、結果的にこのソファを選ぶことはありませんでした。
本記事では、私がこのソファを選ばなかった理由について解説します。あなたのソファ選びのご参考になれば幸いです。どうぞ、最後までおつきあいください。
私のソファ選びのポイント
私がソファに求めるもの
掛け心地の良さ
デザイン性の高さ
長く使える
上限予算は30〜40万円
掛け心地の良さ
これからソファを購入しようとする時に「掛け心地の良さ」を重視しない方はいらっしゃらないでしょう。ただし、求めるものは人それぞれ。ふんわりと包み込んでくれるような柔らかい掛け心地を求める方もいらっしゃれば、しっかり硬めの掛け心地を求める方もいらっしゃるでしょう。
私の好みは、芯のある柔らかさを持った座面。硬くもなく、柔らかいだけでもない。フワッとしているのに、クタッとならない。そんな感じでしょうか。
そして背もたれは立ちすぎず、それでいて寝過ぎてもいない。こちらは少し硬めの方が好みです。背中をしっかり支えてくれる感じが欲しいのです。
デザイン性の良さ
続いて「デザイン性の良さ」ですが、ソファというのはそれなりの大きさがあるため、空間に占める体積も大きく、どうしたって目立ってしまいます。その部屋の主役になってしまうと言っても過言ではありません。
芸能人のお宅拝見などで、たまにゴリゴリの装飾がされたソファなどもありますが、ああいうのは好みではないです。存在感はあっても、それを主張しないシンプルなデザインに憧れます。
長く使える
せっかく購入するのだから、長く使いたい、と考えました。
とりあえず手頃な価格で「悪くない」と思えるものを購入して、気に入らなくなったら買い替えれば良い、というのは避けたかったのです。
今は、壊れたら直すよりも買い替えた方が安いとよく言われますが、多少お金をかけても直して使いたいと思える家具に囲まれた生活は、使い捨ての暮らしよりも絶対に幸福度が高いと思いますし、気に入ったものを丁寧に長く使うことは、子どもたちへの教育としても良いはずです。
多少価格は高くとも、「これだ!」と思える、長く愛せそうな家具をしっかり探してみたいと思いました。
上限予算は30〜40万円
とりあえず手頃な価格で済ませよう、と思えばびっくりするほど安く手に入るのが家具です。
しかし、価格とクオリティは大概、密接に関係しています。価格が高ければ良い、というワケでないのは難しいところですが、価格の安いものが価格の高いものを凌駕することは、まずありません(情報商材や各種ソフトは別です)。安いものには安いだけの理由があり、高いものには高いだけの理由があるのです。
私も、最初はそれほどお金をかけるつもりもなく、ニトリや東京インテリア、Francfranc(フランフラン)などをぶらりと回ってみた程度でしたが、なかなかしっくりくるものがありません。これが首都圏であれば、家具屋さんだって山のように存在するのでしょうが、地方都市では、店舗自体がそれほど多くはありませんから、実際に見てみたい家具があっても、それを置いてある店舗を探すことが最初の関門となります。
ただ、上記した店舗を巡ってみた感覚でいえば、10万円以下で、先述した3つのポイントを全て満たしてくれるものには出会えませんでした。
そこからネットでいろいろと調べていく中で、「これは良さそうだな」と思えるものは最低20万円くらいはすることに気づきました(これは、「私にとっては」という超個人的意見です)。
そもそも、以前ベッドを購入した際、スプリングを使わないという、ちょっと高価なマットレス(シングルベッド用で10万円ほど)を購入したのですが、これがとんでもなく良かったのです。それまでは眠りの浅い私が、朝までぐっすり眠れるようになりました。
「椅子と寝具には投資しろ」という人がいますが、まさにその通りだと思った次第。いや、正確にいえば、この時点ではまだ寝具にしか投資していないワケですが、同じように身体を預ける椅子も大切だということは、なんとなく理解できました。
なお、随分と前のことですが、「次にソファを購入するときは、脚を伸ばせるものにしたい(オットマンなど)」と妻が言っていたので、そういったパーツも加えたら、30万円台にはなるかな? とぼんやり考えていました。もちろん、もっと安くて気に入るものが見つかれば、それに越したことはありませんが、そんなこんなで上限予算は30〜40万円ほどと決めました。
カリモクZU46/UU46
そうして色々と物色している中で出会ったのが、カリモクZU46/UU46というモデルでした。
この角度の写真だとよくわかりますが、曲面状のデザインが特徴的なソファです。背もたれ部分がストンとまっすぐに床まで伸びた、よくあるソファとは異なり、キュッと丸まったお尻のおかげで床面が広く見えて、軽やかな印象を受けます。部屋を広く見せてくれる効果もありそう。
また、両手で水をすくうようなフォルムには、座った人をスッポリと包み込んでくれそうな安心感もあります。ここに身体を預けたら、どんなに気持ち良いのだろう・・・と、フォルムを見ただけで夢想してしまいます。
もうひとつ、控えめに添えられた木製の脚も気に入りました。これまで、カリモクの家具というのは、木材を「どん!」と全面に押し出してくるような、どちらかといえばゴツいイメージがありましたが、これは全然違うぞ、と。シンプルなのに存在感はある、という、まさに私のためにあつらえられたようなデザインに見えました。
一目惚れ・・・というのは大げさですが、とにかく一度見てみたい、座ってみたいという思いに駆られたのです。
お掃除ロボットに対応しているとか、座り心地と耐久性に優れたウレタンクッション“ニューモールドフレックス”を採用しているとか、そういった機能面も悪くはなさそうでしたが、それは二の次くらいでした。
いざ、ショールームへ
次の休日、私は妻を連れて、地元にあるカリモク家具のショールームへ向かいました。
購入するつもりで。
価格の高いものだから、一応確認はするけれど、これでほぼ決まりだろうな、と密かに思っていました。というのも、他に気になるソファもあったのですが、カリモクのこの商品ほどのインパクトがなかったのです(見た目だけの比較です)。もちろん、座り比べればわかりませんが、評判の良いカリモクの製品です。デザインさえ良ければ、座り心地は当然良いだろう、とたかを括っていました。
ところが、です。
まずショールームで受付を済ますと、「こちらでは購入できません。気に入った家具があれば、販売店をご紹介します」と言われました。
そうなのです。カリモクのショールームは、商品を見せるだけ、なのです。これはカリモクのHPにも記載があります。魅力的な商品に目を奪われ、浮き足立った私が見落としていただけでした。
しかし、購入する気満々でやってきた私の出鼻は見事にくじかれました。ちょっとテンションが下がりながらも、お目当てのソファを探します。
「あった!」
見つけました。革張りのZU66/UU66。思っていたより小ぶりに見えるのは、キュッとすぼまったデザインのせいかもしれません。早速、腰掛けてみます。
「あれ・・・?」
違和感を覚えました。いや、確かに収まりは良い。ウレタンクッションの感触も悪くない。なのに、なんだ? この違和感は? と悩んでいると、隣に腰掛けた妻が一言、「思ったより寝そべるね」。
それだ!
確かにゴロンとリラックスするにはこのくらいの角度が良いのかもしれません。オットマンなどを使うにも、脚が少し高い位置におけるというのは利点かもしれません。
しかし、私たち夫婦には合わなかった。もう少し上体をきちんと起こした状態で座れるソファが欲しかったのです。この瞬間、私の中のZU66/UU66への熱はすっかり冷めてしまいました。
ちなみにこのあと、カリモクの他のソファも座り比べてみたのですが、ショールームに置いてあったソファのほとんどが、同じような角度の背もたれになっていました。カリモクが考える「背もたれの心地よい角度」というのがあるのでしょう。そして、それは実際に多くの人にとっても心地よい角度なのでしょう。だから売れている。業界最大手のカリモクで、人気ナンバーワンのソファという実績がそれを物語っているのです。
しかし、たまたま私たち夫婦には合わなかった。ただそれだけです。おそらく大半の方にとっては心地よさを手に入れられるソファでしょう。気になる方はカリモク家具のホームページをチェックしてください。
その後、私たちは私たちにとってベストとも言えるソファに巡り会えたのですが、それはまた別のお話。ただひとことだけ言えるのは、椅子は座らなきゃわからない、ということでした。他人の評価やブランドイメージだけで、座りもせずに通販サイトで購入すると、とんでもなく後悔することもあり得ます。くれぐれもご注意ください。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。